2011年4月24日 (日)

届くニーズと届かないニーズ

震災が発生した3月11日は『福祉施設関係者のための 第40回店舗総合見本市「JAPAN SHOP 2011」視察セミナー』を開催していて、東京の会場で地震に遭いました。高層ビルが大きく揺れるのに初めて遭遇しましたが、これほどの未曾有の震災になるとは思いもしませんでした。福岡、長野など遠方からの参加者が無事に帰れるだろうかと心配しながら帰途につき、深夜徒歩で帰宅される方々を多く見ました。

自分の勤務する施設の安否が判明した翌日以降、被災地復興支援と自施設の災害対応力をいかに強めるかを検討する日々が続きました。多くの仲間の施設と協力しながら行動をしてきました。

震災発生から40日あまりが過ぎましたが、自分の周りの生活が平常に近づきつつある一方で、自分の被災された方への復興支援活動が十分であるのかどうかを自問し続ける毎日です。

被災地のニーズに合った支援は何か、という視点で行動をしようとしても日々変わるニーズに迷うことが多くありました。

こちらが提供しようとする(したいと思う)支援については、常にそれを必要とする人と必要としない人がいます。ニーズに合わなければ無駄になります。

しかし無駄になることがあっても必要とする人がいる以上、支援を止めてはいけないと考えています。

と同時に気づいたことは、被災地のニーズとは、被災地においてニーズの情報を発信できる人とこちらがキャッチできた人のニーズであるということです。

ニーズを発信できない人のニーズを「ニーズがない」と思い込む危険を強く感じました。こちらがキャッチできた人のニーズを「被災地のニーズ」(のすべて)と思い込む危険もまたあります。

いつでも届かないニーズがあることを想定するならば、支援活動の組み立て方を仕切り直すことができます。

このような支援は無駄だという結論を出す前に、どのような支援活動にも大きな無駄があり得ることを覚悟する必要があるのではないでしょうか。

効率よりも優先すべきことがある、ことは理解しているつもりでも、自分の支援活動にあり方については、いつのまにか効率優先の判断を持ち込んでしまうものです。この危険性についてもまた考え続けたいと思います。

私たち福祉施設における障害者支援の現場でも「声にならないニーズ」をくみ上げる力が求められています。見えない声、聞こえない声に気づく力こそが福祉のプロに求められているものです。福祉のプロだからこその気づきを持って支援活動を続けたいと思います。

また全国で展開されている震災への復興支援活動を見る中で、さまざまな不具合に気づくならば、そのことをもって自分が働く福祉施設における今の支援に同じような不具合が起こっていないかを点検する必要があります。

震災後の3月29日に開催された「新入社員人財化セミナー」(会場:ホテルメトロポリタンエドモンド 主催:株式会社SYワークス)で佐藤芳直氏は現業を速やかに回復させることの重要性を強調されていました。自らいま置かれている職場での仕事を今まで以上に全うさせることが何より必要であり、被災地仙台に本社を置く同社がまずその範を示されていたのです。私も全く同感です。

この震災に学び、今の仕事に活かさなければ将来の日本に対する責任が果たせません。そのためにいま福祉の現場で考えるべき一つの着眼点が「届くニーズ」と「届かないニーズ」にあります。

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2011年3月 4日 (金)

社会貢献はなぜ必要か

昨年大手サラ金会社武富士が倒産しました。業界一位の会社でしたが、倒産してみれば世間の目は厳しいもので「あれほどあこぎな金利稼ぎをしていたのだから当然だ」というものでした。今年2月になって、創業者の家族に約2千億円が還付されることが最高裁で確定し、またまた波紋が広がっています。

私内藤が80年代に高校教員をしていたときに担当した「政治経済」の授業でも消費者金融を始めとする消費者教育をテーマに採り上げていましたので、見過ごすことのできない現象でした。

本来金融を生業とする「銀行」に相手にされない消費者が経済社会で生きていく上で不可欠とも言えるサービスには一定の存在価値があります。もちろん違法な(あるいはグレーゾーンの)金利で稼ぐことや、度を超した取り立てをすることは社会問題です。とはいえ、一部の消費者にとってはなくてはならないものとなっていたことは事実です。

倒産したこの会社の社員も業界一位であるからには寝食を忘れて仕事に邁進していたことでしょう。自分の仕事の使命として、消費者になくてはならないサービスの提供にその意義を見出していたでしょう。しかし大きな社会問題となりいくつかの法改正を経て過払い金(利息)返還請求が可能になり、会社の経営そのものが成り立って行かなくなったとき、その社員が手にする社会からの評価は本当に厳しいも

のなのです。銀行から相手にされず生活苦に追い込まれた消費者からの援護さえ受けることもできないのです。

では、私たち福祉関係者はいったい世間からどのような評価を得ているでしょうか。

障害者、高齢者に不可欠なサービスを提供していることに間違いはありません。確固とした存在意義は誰にも認めてもらえるでしょう。従事している人にとっても強い誇りを感じられる職場が多く存在します。この分野の先人の業績を垣間見れば、茨の道ともいえる事業を遂行し続けた高邁な意思に誰もが頭を垂れることでしょう。障害者、高齢者の人権や尊厳の確保するために、我が国の制度改革に向けて身を投じてきたその姿勢からは、人間としての信じられないほどの強さや、過去現在未来に続く歴史の進化や共につながる人々への強い信頼感などを感じることも容易にできます。

自分の仕事の受け手である人(消費者)を人間として見てきたかどうかの点において、消費者金融業界の人々とは格段の差があります。

しかし、たとえそうであったとしても、自分の仕事(業務)に一意専心で取り組んできた点において変わりはありません。自分の業務においていかに愛情を込めて情熱を込めて働いたとしてもそれだけでは、自分のお給料のため、自分の会社の持続性のためといわれてしまうのです。

福祉業界に身を置くと、この業界はとても厳しいと感じます。これは紛れもない事実です。しかし福祉業界以外が安泰かといえばそうではありません。自殺者が年間3万人を超える日本の社会において、福祉業界の経営者が経営に行き詰まり自殺したというニュースはほとんど聞きません。もしもこの国の財政が破綻して社会保障費支出が滞ったとき、福祉業界は事業が成り立って行かなくなる事態となるでしょう。そのときに路頭に迷った福祉業界の人々に対して、世間から「障害者、高齢者を食い物にしてきたのだから当然だ」という目が向けられないという保障はないのです。むしろそのように見られると考えるべきなのです。制度が悪いからという言い訳は決して通用しないでしょう。消費者金融界でもそのように言い訳をしてきたからです。

いま私たちは、「障害者、高齢者のために」を掲げているだけでは不十分なのです。繰り返しますが、自分の業務においていかに愛情を込めて情熱を込めて働いたとしてもそれだけでは、自分のお給料のため、自分の会社の持続性のためといわれてしまうのです。

私たちは、人として、大人として、社会人として果たさなければならない義務は何なのかを問い直さなければなりません。自分のお給料のためではないこと、自分の会社の持続性のためではないことにも目を向けなければなりません。本業において誰にも負けない業績を上げることを超えたところにあるもの、それを「社会貢献」というならば、社会貢献を自分の本業以外においても積み重ねることが必要なのではないでしょうか。

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2010年4月 1日 (木)

あなたは「現場」を知っていますか?

私たちは福祉の現場で働いているので、皆んな現場を知っています。

福祉行政を批判するときに、よくいわれる言葉は「机上の空論」「会議室の理論」などです。

自分たちの働いている職場は間違いなく「現場」です。ところが現場には違いないのですが「自分の職場」に過ぎず、他の福祉の現場をいったいどれほど知っているのでしょうか。

たんに自分の職場を知っていることを「現場を知っている」と表現することに問題はないでしょうか。

現場には、(福祉の業界に限らず)その職場独自の人間関係や社風、文化があります。同じ業界であるならば同様な「作業」が展開するでしょうが、上記人間関係等は職場によって大きく異なるものです。私はいままでに異なる業界4か所に所属しましたが、そこでの作業内容は当然のこと、人間関係等は大きく異なりました。

では、どの福祉現場にも共通するものというものはあるのでしょうか。

自分の働く職場の情況や事情をもとに、どの職場にとっても必要なものは何か、という観点から、それを醸成するために必要なものの提案をしていくことならば可能でしょう。

その提案の方法としては、自分の職場の都合によるものではなく、他の職場の都合を思いやる心から発しなければなりません。自分の職場にとって必要不可欠だと感じることが他の職場にとってどのような意味を持つことになるのかを考えないままに発言し行動することは慎まなければならないことです。

自分の職場・組織の社風・文化・価値観とは異なる(自分を否定するかに見える)文化・価値観に基づく発言・行動をも受け止める器量のある人の発する声が、ほんとうの「現場の声」というものなのです。

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2008年4月12日 (土)

自分がどの点で最高の力が発揮できるか

新年度が始まりました。

私が勤務する施設でも最初の職員会議(今年度からこの会議のネーミングが「パワーアップミーティング」となりました)が開かれ、席上、今年度の経営方針について発表しました。

http://www.meiroh.com/ceo/2008_keiei.html

このパワーアップミーティングの議長を務めた職員が、私の経営方針発表後に、ミーティングに出席している職員に次のように語りかけました。

「自分はどの点で最高の力を発揮できるか、を言ってください」「この経営方針を受けて、この中の項目から、今年は何をどう実践したいのか、言ってください」

プラス発想を引き出す素晴らしい会議の進め方です。そのあとに続く職員の発言も、この議長のスピリットを受けて、自然に良い発言となりました。

……「良い発言」って何? とお考えのあなたに……

笑顔で発言している言葉は、それだけで良い発言です。

改めて自分の周囲を見回してみてください。良い発言はいつも笑顔とともにあります。

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2007年6月 4日 (月)

ハッピー実現プロジェクト

私の勤務する施設の欠点は、汚いことでした。職員のだれもが自分の家族をこの施設の利用を勧めたく思わないというのが実情でした。

施設運営の理念は、それなりに一流を目指していて、ISO9001の認証を獲得するなど高度な取り組みに熱心でしたが、足下の掃除ができていなかったのです。

何とかしたくてもだれも何ともしない……このようなことが続いていました。

職員にとってもお客様(利用者)にとっても不幸な事態でした。

当然のことですが、今までに何度も職員会議で、清掃の手順を定めて分担を定めて取り組んできたのですが全く長続きしなかったのです。

先月25日の職員会議で、変化が起こり始めました。

「ハッピー実現プロジェクト」がスタートしたのです。今後この施設では清掃のことを「ハッピー」と呼び、だれもが気持ちよく豊かに暮らし、働ける生活環境を再構築するという目的のプロジェクトに取り組み始めました。

企画提案した職員の「職員の離職の原因も突き詰めると劣悪な職場環境にある」との着目により、プロジェクトの目的と共に目標、期限が定められ、遂行のための組織としくみが作られました。

職務のプロセス化が進むことになりました。

毎朝のミーティングの時に「本日のハッピー担当は○○と□□です。皆さんが気づいているハッピーでない箇所がありましたらこの場で報告をお願いします」という発言がここ数日続いています。

また「月末大掃除」と呼んでいたことが「大ハッピー」と職員の誰もが呼んでくれるようになりました。

組織には、瞬間的な変化というものが、起こりうるのだということを再認識しました。

私の勤務する施設は、劇的に変化しつつあります。

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2007年4月17日 (火)

ファン感謝デー

ほとんどの福祉施設・事業所では、保護者会とか家族会とか後援会とかいう組織をお持ちではないでしょうか。

私の勤務する施設でも、年に4回、保護者会・保護者説明会を開催してきました。施設の取り組み方針とか、サービス利用顧客がどのような日常を施設で過ごしているかという現況とか、法律改正・制度改正の説明とかを保護者の皆様に向けてお知らせします。また保護者と施設職員との個別面談の時間を用意したり、一緒に食事をする時間を作ったりもします。

毎年4回ずつ(3ヶ月に一度)開催していますが、法律や制度の改正のこと以外には、なかなか新たな企画を考えることなく、保護者の皆様のお気持ちを伺う場となっていました。

そこで、いままでとは異なる新しい試みをしたいと、リーダー職員に持ちかけたところ、2007年度は「保護者会・保護者説明会」に代えて『ファン感謝デー』を実施することになりました。

保護者は『ファン』なのです。ファンだからこそ、施設の提供するサービスを利用し続けてくれます。また施設を物心両面で支えてくれます。

ならば、施設の職員が総力を挙げてファンに感謝するイベントにしよう、施設の職員がサービス利用者やそのご家族に対して心から感謝していることを、はっきりと伝えていける内容を作り上げていこう、このような方針です。

保護者の皆様の不満・クレームに耳を傾け、丁寧に対処していくことは、とても大切なことですが、それだけでは職員はへこんでしまいます。

いっそのこと、保護者の皆様の喜びの声をたくさん集めることにしよう、としたのです。そのためにはどうしたらよいか……。

まず私たち職員の、保護者の皆様に対する感謝の気持ちを明確に表す必要がある、と考えました。喜びを得たかったら、まず喜びを与えよ、です。

保護者の皆様への感謝の気持ちを「ファン感謝デー」において、どのように表現していくか、どのようにはっきりと伝えていくか、これから約2ヶ月間の準備期間がとても楽しみです。

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掲載されました!

ニュースがあります!

拙文が『知的障害福祉研究 さぽーと2007年3月号』に掲載されました。

3月号で「障害者自立支援法への移行後の施設の状況」という特集が組まれ、その中で「新体系移行は大チャンス」というテーマで掲載されております。p24~26。
ご興味のある方は是非ご覧ください。

月刊誌『さぽーと』購読は、財団法人日本知的障害者福祉協会出版部までお申し込みください。連絡先03-3438-0467(出版部)
年間購読料は6,300円(1部580円)福祉協会会員施設職員は5,000円(1部470円)です。

ニュースです!!

私の勤務する施設の状況が『月刊福祉2007年5月号』に掲載されました。

5月号から「福祉サービス最前線」というシリーズが始まり、その第1回「知的障害者授産施設の新サービス体系への移行」に採りあげられたのです。p58~61。
ご興味のある方は是非ご覧ください。

『月刊福祉』購読は、全国の書店、都道府県社会福祉協議会または全国社会福祉協議会出版部(FAX03-3581-4666 住所氏名と電話番号、購読開始月号と冊数をFAXすれば請求書が届きます)
定価1,020円 定期購読は送料無料。

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2006年12月23日 (土)

個別の意味

私の勤務する施設で今日クリスマス会が開催されました。外部から演芸のプロをお呼びしたり、職員が歌、劇、器楽演奏、舞踊、マジックなどを披露しました。

最後にサンタクロースからプレゼントが全員(約70人)にわたるのですが、ほぼ3時間にわたるクリスマス会の最後になると、見る方も疲れてきますので、スムーズなプレゼント配りが求められます。

ところが職員が一人ひとりの名前を呼んでいるのです。もう少し効率的な方法があるのでは……と見ていたら、顧客が受け取っているプレゼントの袋の中身がそれぞれ違うようなのです。なかには、洗濯カゴを受け取っている方もいるのです。

周辺にいた方に聞いてみました。すると今回はすべて一人ひとり中身が違うのだそうです。しかもクリスマスのプレゼントに何かほしいかと事前にインタビューを受けたようです。

私は感動しました。自分の施設の職員ながらほんとうに誇りに思います。

個別ってこういうことなんだなと思います。それまでの全員に同じものを配るとか、男性と女性に分けてその中では同じものを配るとか、当然にしてきたことでしたが、今回施設職員が自発的に考えて、取り組んだ結果がこのようなプレゼントの形態になったわけです。

金額は千円程度でも、一人ひとりの中身を全部本人の希望に合わせて変えるなんて簡単にできそうでできません。

でも目の前でプレゼントをうれしそうに受け取っている姿、そして隣の方と比較しながら見ている姿をみると、どのようなプレゼントを受け取ったらうれしく思うだろうかと準備段階で考えていた職員の姿が想起され、ほんとうに頼もしく、またうれしく感じました。

隣の人と同じものをプレゼントで受け取ることが当然だなんて、自分自身は決して思いません。またもしそうなら、あまりうれしくありません。(バレンタインなんて特にそうですよね)

だからこそ、そのことに気づき、自発的に(私自身プレゼントが配られるまで全く知りませんでしたので)取り組んだ職員に大きな拍手を送りたいと思います。

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2006年12月13日 (水)

自分の人生の中で一番輝いていたとき

10日快晴の朝、さいたま市へ授産振興セミナーの講師として呼ばれていってきました。

休みの日を返上して、自分でお金を出して研修する人を前にして、ほんとうに頭が下がりました。

授産事業は施設の中で障害者の人々に働く場とチャンスを提供して、かつ給料(工賃)を支払っていく事業です。

その事業を活性化していく模索をし続ける受講者の皆さんの顔の中にはいろいろな表情が見て取れました。

その皆さんに向けて、売るための行動と商品の品質を高める行動とは別物として考えるべきではないかという示唆をいたしました。

自主製品(自施設で製造・生産できるオリジナル製品や商品)がないと悩まれる方がいる一方で、施設にある製造・生産設備が手かせ足かせになっていると悩まれる方もいるのです。

何を作るか、という悩みを越えて「どう売ろうか」という段階にたどり着くのは実は容易なことではありません。販売は商品そのものが持つ魅力(商品力)で決まるものと考えがちだからです。

さて、このような授産事業が福祉の現場で展開されているときに、もう一つ大きな難しさがあります。それは「販売」「製造・生産」という行為と「支援」という行為をどのようにバランスをとるかということです。

結論から言うと、このことのバランスをとる、ということに悩んでいるということは、両方ともうまくいっていません。たいていは、両方うまくいくか、両方ともダメかです。支援が天下一品なのに販売がまるっきりダメなんてことはありません。逆に販売力がないような施設は残念ながら支援もよい結果が出ていないのです。

このあたりの目標設定にはトップの意識が強く問われるところです。

「顧客満足」は当然のことであってサービスのスタート地点です。顧客が不満を抱いている状態を「サービス」とはいいません。「顧客が満足すること」を超えたところにあるものを目指さないと、結果として顧客満足というスタートラインに立つことはできないのです。

障害者が「この施設で過ごしていたときが自分の人生の中で一番輝いていたときでした」といつか語ってくれるような施設サービスを提供することが私の夢です。

受講者の皆さんのなかからもこのようなサービスを展開される方が多く生まれることを祈りながら会場を後にしました。

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2006年10月19日 (木)

たかがコーヒーかもしれませんが

私の勤務する障害者施設は10月から障害者自立支援法による新事業に移行しました。入所施設でありながら新事業へ移行する例は少ないようで、実際に移行してみるとさまざまな景色が見えてきます。

来年10月以降の国保連による一括利用料請求事務が始まるまでは、個別に市町村に対して利用料請求をしなければならなくなりました。請求期限や入金のタイミングは市町村ごとに異なりますので神経を使います。加えて請求事務関連専用ソフトの対応が遅れるものですから……事務スタッフは大変です。

「だから様子を見ればいいのに……」という嘲笑が聞こえてきそうです。が!負けずに頑張りますよ。

利用料請求について市町村ごとにどのくらい違いがあるのかをここ数日市町村窓口を訪問して調査しています。結果は徐々にまとまりつつあります。

20以上の市町村窓口を直接訪問してみると、いろいろと気づくことがあります。ある市では、訪ねた場所が違うからと、そこの窓口の職員さんが、さっと案内に歩き始めました。感動です。言葉で行き方の案内をするだけが普通ではないですか。それをさっと歩き始める、こんなことにも感動します(めったにこんなにやさしいサービスを受けないからかもしれません)。

椅子に座るよう勧めてくださるところとカウンター越しに立ったまま対応されるところと、いろいろ違いがあります。椅子に座る、たったこれだけのことのようですが、たくさん移動してきた者にとってはうれしい一言です。ましてやコーヒーを出してくださるなんて感動の極みです。飲み物を出してくださるところは10%に及びませんから、来客から受けるイメージは、まさに雲泥の差です。

自分の施設でも、来客に椅子を勧め、コーヒーを差し出すことは、たとえ飛び込みのセールスであってもできるだけしていますが、このときコーヒーだけでなく、お茶かコーヒーか紅茶かの好みを伺ってさし上げられたなら最高だな、と思いました。早速同行した総務部長に話しました。来客へのおもてなしにも気を遣う必要があると感じます。

実は数年前、施設の製品の営業に県内各施設を訪問したことがありました。さまざまな違いがあることに気づきました。そのときも来客に「椅子を勧めること」「飲み物をさし上げること」は最低限必要なことだと感じたことを思い出しました。

で、今回の市町村窓口訪問で、たった1ヵ所コーヒーを出してくださったところの「庁舎」が一番立派だったのです。もしかしたら立派な庁舎が素晴らしいサービスを産み出す「秘密の要素」なのかもしれません。

庁舎の質とサービスの質はきっと何らかの関係がある、と感じました。

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