2007年11月 5日 (月)

吹く詩の宴

たのしいイベント企画の情報をてにいれました。

私も参加しようと思います。

▽▽ ここから引用 ▽▽

福祉から“吹く詩”へ「吹く詩の宴」
~今、ここで生きていくということ~

■日時:2007年12月8日(土)9日(日)
■場所:かずさアカデミアホール(千葉県木更津市)
■費用:1日あたり2,800円(2日間参加の方は割引有り)
    1日目終了後に同会場にて懇親会あり(2000円)

木更津で福祉の大革命イベント&セミナー開催します!
しかも参加費も超リーズナブル!!他じゃありえません!!

講師の方々は…
○介助技術のスペシャリスト! 青山幸広氏
○地域共生ケアの最先端! 阪井由佳子氏
○NHKでもおなじみ介護の哲人! 三好春樹氏
など、地域福祉の最先端を行く方々が全国から集結して下さいます!

そして仕掛け人は、小規模デイサービス・宅老所千葉県連絡会代表で、
NPO法人井戸端介護代表でもある伊藤英樹氏

<1日目プログラム>
■僕らを生きさせてくれ!養護児童の自律支援に向けて、熱~い唄声を!!
・響きの杜バンド人力車

■小規模多機能ケア・地域共生ケア」<「宅老所」ってなんだろう?
[シンポジスト]
・宅老所「いろ葉」(鹿児島県)代表 中迎聡子
・民間デイハウス「にぎやか」(富山県)代表 阪井由佳子
[コーディネーター]
・チャレンジセンターLET’Sきさらづ(千葉県)代表 筒井啓介

■生きることが下手な人間集結!!!ビバ“こわれ者の祭典”(新潟県)
・メンバー:月乃 光司・kacco・
      脳性マヒブラザーズ(DAIGO・周佐則雄)・アイコ

■障害とつきあいながら生きるということ
[講師]
・北海道医療大学/浦河べてるの家(北海道)ソーシャルワーカー 向谷地生良
・中核地域生活支援センターがじゅまる(千葉県)所長 朝比奈ミカ
・“こわれ者の祭典” メンバー (新潟県)

■今、僕らにできること、なすべきこと、なされるべきこと
・立命館大学大学院先端総合学術研究科 教授 立岩真也

<2日目プログラム>
■もうすでに、新しい介護は始まっている~ブリコラージュな生き方
・生活とリハビリ研究所 代表 三好春樹

■21世紀の新しい社会システムづくりと地域福祉
・日本社会事業大学 学長 大橋謙策

■住み慣れた地域で暮らし続けるために…僕らができること!
[パネラー]
・千葉県たすけあい協議会 代表 國生美南子
・小規模デイサービス・宅老所千葉県連絡会 代表 伊藤英樹
・中核地域生活支援センターひなた 所長 渋沢茂
[サポーター]
・全国コミュニティライフサポートセンター 理事長 池田昌弘
・千葉県健康福祉部 部長 小川雅司
[コーディネーター]
・東北福祉大学総合福祉学部 教授 高橋誠一


<ホワイエスペシャルプログラム(1日目)>
その他、ひとり欲セミナーで有名なRX青山こと青山幸広氏による
「スーパー介護術 実技セミナー」も同時開催します!
福祉職の人はこちらも必見ですよ!!

★「ブース出店」のご案内について・・・ 
会場入口(ホワイエ)で、貴方の『お店』を開きませんか?
先着20組様限定。福祉施設の作品展示・販売、介護事業所のPR、
福祉用具展示コーナーの設置、介護相談コーナーなど。
詳しくは、大会事務局までお問合せください!
電話:0438-20-3751 FAX:0438-20-3752
メール:info@npo-cw.net

★開催趣旨
(「“吹く詩”の宴」実行委員会 実行委員長 伊藤英樹より)

昨今の福祉行政および介護現場における行き詰まりは、
決して当事者、福祉従事者( 経営者も含む) 、
福祉行政者の3者において解決できる課題でも、
3者で解決すべき問題でもないと考える。
また、同様に医療、教育、環境といったことについても
同様ではないだろうか。
人的環境及び生活環境といった広く大きな現代的課題は、
たとえ無理があっても、様々な背景や具体的現象を
繋げて考えていかなければ、
それについての正確な理解は無理である。
ゆえに、あえて整理することをせずに、
大風呂敷を広げたような問題提起の仕方はできないだろうか、
というのがこの度のイベントの趣旨である。
ただし、大風呂敷を広げたところで、
隙間だらけの散漫なイベントとなっては、
「繋げて考える」という趣旨からは遠く離れていってしまう。
そこでひとつのメッセージをもってこのイベントを貫く目的としたい。
それは「世の中をよくしたい」ということだ。
よりよき世の中のイメージなんて
千差万別なのは無論承知のことだが、
ある意味それぞれの「よりよき世の中」を
発表しあう場であっても良いと思う。
そんな中から、ほんの少し、相互理解と、
同じ時代を生きるわたしたちの「苦・楽」の感覚の共有が
一歩進めばよいと思う。
よりよき生活、よりよき社会へ向けて・・
趣旨への賛同とご理解をお願いいたします。

参加申し込みや詳細は公式ブログよりお願いします。
http://fukushibanpaku.blog108.fc2.com/

△△ ここまで引用 △△

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2007年4月17日 (火)

掲載されました!

ニュースがあります!

拙文が『知的障害福祉研究 さぽーと2007年3月号』に掲載されました。

3月号で「障害者自立支援法への移行後の施設の状況」という特集が組まれ、その中で「新体系移行は大チャンス」というテーマで掲載されております。p24~26。
ご興味のある方は是非ご覧ください。

月刊誌『さぽーと』購読は、財団法人日本知的障害者福祉協会出版部までお申し込みください。連絡先03-3438-0467(出版部)
年間購読料は6,300円(1部580円)福祉協会会員施設職員は5,000円(1部470円)です。

ニュースです!!

私の勤務する施設の状況が『月刊福祉2007年5月号』に掲載されました。

5月号から「福祉サービス最前線」というシリーズが始まり、その第1回「知的障害者授産施設の新サービス体系への移行」に採りあげられたのです。p58~61。
ご興味のある方は是非ご覧ください。

『月刊福祉』購読は、全国の書店、都道府県社会福祉協議会または全国社会福祉協議会出版部(FAX03-3581-4666 住所氏名と電話番号、購読開始月号と冊数をFAXすれば請求書が届きます)
定価1,020円 定期購読は送料無料。

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2007年1月18日 (木)

工賃倍増計画支援事業

平成19年度予算案の中に「工賃倍増計画支援事業(5億円)」(福祉施設で働く障害者の工賃を平成23年度末までに現在の水準から倍増させることを目標とする「工賃倍増計画」を各都道府県が策定し、同計画に基づく事業に対し補助を実施(事業費:1都道府県あたり1,000万円~3,000万円))の内容が盛り込まれました。

工賃水準の引き上げのための事業として18年度は、授産施設等における工賃実績の報告・公表、利用者負担における工賃控除の「見直し」、工賃ステップアップ事業(経営改善モデル事業)の実施がありました。工賃控除の「見直し」は障害者自立支援法にもとづく新制度のほころびを繕うという意味も含まれています。

「工賃倍増計画支援事業」とは、工賃の月額平均15,000円を30,000円に倍増させる支援事業です。何ができるかを考えていくことは楽しみです。

実は「できない」理由を考えることほど不毛なことはないのです。もちろん職務上、そのことの分析をしなければならないときはあります。しかし事業費が1千万円でどれほどのことができるか。研修会を開くとしても資料代・会場代・通信費で半分、講師料・調査費・報告書作成費で残り半分。都道府県内全域に2~3回程度の開催か、あるいはモデル事業の継続か、その程度のこと「しかできない」……

(できない理由を発言する人の「マイナス精神」は伝播します。だから私は極力、できない理由を見つける人や不満を口にする人から遠ざかるようにしています)

ここは一転して、5億円の予算がついた。この事業で目標を達成するためには何ができるかを考えていきましょう。


さて、工賃の月額平均15,000円を30,000円に倍増させる支援事業に注目しましょうと書きましたが、この事業の目標を正しく読み替える必要があります。

平均工賃を上げるためには、あなたの事業所で何をすればよいのでしょうか。


もちろんそれぞれの事業所の工賃が倍増すれば結果として平均工賃が倍増するでしょう。しかしここはもう少し正確に目標を設定する必要があります。

工賃は障害者お一人お一人が受け取る金額ですが、その工賃をアップするため、と考えると、障害者の能力アップがその前提として不可欠だという壁に当たります。そして「支援をしている目の前の障害者の姿を厚労省の役人に見てもらいたい、このような状態で工賃アップできるはずがない」とか「行政が施設に積極的に仕事を発注しないのだから仕事が増えるはずがない」という隘路に迷い込んでしまいます。

工賃アップの正しい表現は「工賃支払い能力アップ」です。目の前にいる障害者の働く能力が上がらなくても、変わらなくても、高い工賃を支払うことができる能力を事業所が手にするにはどうすればよいか、ということです。

実際、事業所の職員さんのお給料算定の際に「働く能力」あがらないから昇級延伸とかいう事態はないはずです(もっとも今は別の理由で賃金一律カットや賞与なしの事態が各地で生じていますが)。

工賃アップができない理由に「障害者側」の事情をもってくるのはフェアではありません。あなたが一人の労働者であるとして考えてみてください。障害者自立支援法による日割り制とか報酬単価引き下げによって事業所財政が悪化したり(外部事情)、経営者の放漫な姿勢やサービスレベル低下による顧客離れによって事業所財政が悪化(内部事情)
したりしたのに、労働者の能力が上がらないから給料が支払えないといわれたら、どのような気持ちになるでしょうか。

事業所の工賃支払い能力を形成する要素のひとつに「労働者の資質」があるのは否定できませんが、それだけではないはずです。だから、事業所の支払い能力を上げることが大切なことです。

そしてその観点から「目標」を設定する必要があります。事業所の「何」を「どう」するのかが「目標」です。

事業者の現状の何をどのように変えるか、このことが目標です。



事業の目標売上をいくらに設定するか、これが「工賃アップ」のための正しい目標設定方法です。

工賃を収入から経費を差し引いた収益を充てると考えたとしても、工賃を事前に経費化して事業計画を立てるとしても、売上が上がらないことには「結果として」工賃が上がらないからです。

事業所とともに都道府県も考えていただきたいことです。

仮に都道府県に事業所が100ヶ所あったとします。その1事業所あたりの年間売上が250万円だったとします。すると年間2億5千万円です。5年間で5億円にするというのが、この支援事業の目標です。5年間の伸びは一定ではありません。季節変動があるからではありません。事業の伸びには勢いが関係するからです。

飛行機が飛び立つためには離陸のときに一番エネルギーを使います。しかし一度飛び立ってしまえば離陸ほどのエネルギーは必要ないのです。だから、1年目が一番エネルギーを使います。1年目は1千万の伸びでもOKです。1事業所あたり10万円です。250万円売っている事業所が260万円にすることは簡単です。10万円伸ばせた事業所は同じエネルギーで30万円、50万円、80万円と伸ばしていくことができます。

500万円にするという目標があるから260万円という一里塚へ達するのは簡単なのです。しかしその簡単なことでも250万円が限界だと考えている事業所にとっては無理なことになってしまうのです。

さて、この目標を設定したならば、そのために事業所は何をすればよいのでしょうか。達成するために必要なことだけを考えます。

できない理由を考えてならないのです。

工賃倍増は、「そんなこと簡単にできる」と取り組んだ事業所だけが達成できます。支援事業の目標金額を簡単に達成できると取り組んだ都道府県だけが達成できます。

この取り組みは、障害者支援という福祉サービス提供とその質の向上への日々の取り組みとは別物です。

障害者支援の困難な現実によって授産事業の目標を見つけられないまま走り続けている事業者に対する都道府県の支援は、従来のタイプとはまったく別の支援スタイルになるのです。

そのスタイルとは……

1.工賃倍増とは、障害者支援とくに生活支援とは別次元に展開されるべきもの。または生活支援を含めた障害者支援とは別のスキルによって達成できるものであること。

2.具体的な目標は事業の売上金額等、具体的に測定できる指標により設定すべきであること。(指標に平均工賃や工賃を用いると障害者の資質に目がいくので、できるだけ売上を用いること)

3.5カ年の年次計画においては、とくに1年次目の目標を達成するのが一番困難なので、機械的に均等割することなく慎重に目標を設定すること。

4.目標を達成するために必要なことを明確にして取り組むことを奨励し、目標を達成できない理由や目標未達理由の分析にとらわれすぎないこと。

5.都道府県内すべての事業所を包括することを追求しすぎることなく、取り組みたい事業所だけで始めて、あとからの合流を自由に認めること。

6.これらのことを県内各事業所に確実に伝える方策をとること。


このことを実現するためは……

1.事業所の管理者向けに「目標設定」のための講座を実施する。

2.成功事例を評価し合う会合を実施する。この会合には管理者のほかに、職員、利用者(障害者本人)、利用者ご家族が参加する。

3.成功事例の評価の際には、障害者本人、障害者のご家族、職員同士が評価し、事業所職員・施設職員が評価され、表彰されるしくみをとりいれること。

あなたはどのようにお考えになりますか。


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2006年12月16日 (土)

自分で作る

12月14~15日に障害者自立支援法に基づく新事業への移行を検討する実践研修会に参加しました。

私の勤務する施設は10月から移行した(つまり全国で最初です)のでこの研修会で30分ほど報告する機会をいただきました。

移行した事業のメインは就労移行ですから、障害者の就職という実績が上がらなければなりません。「企業が雇用する」という事実が積み上がらないことには新事業の成功とはいえないのです。

で、一体どこにそういう企業があるのだろう、という漠然とした思いを抱き続けていましたが、はっきりしていることは、ハローワークや障害者職業センターからの情報を「待っている」だけでは不十分で、自力で開拓しなければならないということです。

地元の商工会議所を会場に毎月、マーケティングのセミナーを始めることにしました。ここで地元の企業の方々と真剣に集客や販売のことを語り合える人脈を一から作り始めることにしました。「ないものは待たずに自分で作る」姿勢が大切なのではないかと考えました。

企業にアプローチすることが大切ですが、こちらに耳を傾けてくださる企業をまず目の前においでいただくにはどうするか、という行動をまず第一歩踏み出さなければならないのです。

このような思いを報告の中の一部でいたしました。

研修会終了後、すぐに5名の方が私が用意したイベントを通じての集客スキルの資料を求めに声をかけてくださいました。

すぐに行動する方は5%しかいないのですが、まさにこのときもそのことが証明されたのです。

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2006年7月30日 (日)

自立支援法に対応する力

 『予測不能な世界に対処する一つの方法は、あなたの組織内に考えうる限りの柔軟性を植え込んでおくことである。』(アル・ライズほか『マーケティング22の法則』東急エージェンシー、1994,1 p179)という一言が力を与えてくれます。

 自立支援法が4月1日に施行されてから、今後への不安が大きくなりました。報酬の日割制により収入が減少する、いやそれ以上に収入が不確定になります。10月以降の新事業への移行について検討してみても、いままでの報酬額や人員配置などの基準が大きく変更され、安心して移れそうにないのです。報酬とも関わりますが障害者の障害程度区分判定の仕組みがとくに知的障害者にとっては不充分・不親切です。これらのことが今後改善されるのかどうかの見通しさえ立っていないのです。

 千葉県我孫子市が、この障害程度区分判定に関して独自の基準を設けて、知的障害者・精神障害者の実態と判定結果の乖離に修正を加える動きを見せています。詳細な内容は検証していませんが、大いに評価すべきは「障害者の福祉サービスの利用希望」が障害判定結果に反映される点です。

 変化へのどこよりも早い対応が必要。このようなアドバイスを上記書籍から見つけたのです。また『そもそも会社というものは、新しいアイデアをもって自らに刃を向けるほどの柔軟性を備えていなければだめである』(前掲書 p181)そうです。

 自らに刃を向けるほどの柔軟性。

 しかしこの柔軟性は血を出すための柔軟性ではありません。予測不能な未来に対処するための柔軟性です。

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2006年5月25日 (木)

大きくする

 障害者自立支援法が施行され、第1回目の利用料金の請求事務が終わりました。そろそろ10月以降に始まる新事業への移行についての結論を出さなくてはなりません。

 施設長としてこの障害者自立支援法を「最高の追い風」ととらえなければなりません。いまこそ法人の規模、施設のサービス提供体制の拡大をはかりたいと考えます。いわゆる「入所施設」は拡大できません。地域移行の名のもとグループホーム等への分散移行が国の施策として進められているからです。

 この「分散移行」という表現、とってもよろしいと感じませんか。地域移行といっても受け皿整備を保証することなく強引に進める施策の姿は、まさに施設つぶしに他ならないのですが、「施設つぶし」と表現するとなんだか事業者がだだをこねているような気がするのです。グループホームが地域生活の体現だと考えている方への皮肉を込めて「施設からの移行」を「分散」と呼びたいと考えます。

 さてこの分散施策によって、宿泊サービスと、昼間のサービスの分離も行われますので、施設サービスの拡大は、昼間サービスの拡大を意味します。昼間のサービスをいかに拡大するか、そしてその拡大目標をどこにおくか。

 障害者施設の「地域一番店」を考えてみたことがありますか。シェアの目標値から自施設のサービス規模(定員)考えたことがありますか。地域一番店になるための目標シェアを19.3%→26.1%→41.7%と段階的に設定していき、施設経営の安定化を図りたいと考えます。

 障害者自立支援法は「事業者規模を拡大する」「大きくする」という視点でみれば大いなる追い風です。

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2006年3月24日 (金)

自発的にやりたいと思うことは100%正しい

 障害者自立支援法の施行を目前にして、私の勤務する施設でも障害福祉サービスを利用する障害者ご本人、そのご家族の方(私どもの施設では「お客様」とお呼びします)に制度変更の中身のご説明と、利用料のしくみの変更(応能負担から定率負担に変わります)に合わせた契約変更の準備に追われています。

 報酬が下がる中、どのように収益性を保つかの正念場がやってきたようです。

 いままで、社会福祉法に盛り込まれた「障害者サービスの第三者評価」への取り組みとして私の勤務する施設では独自にISO9001を採用し、その認証を受け、半年に一度の外部機関の審査を受けながら継続的改善に取り組んできました。2002年の12月に初めての認証を取得し、昨2005年12月に更新登録をしました。障害福祉サービスの提供事業者として、サービスの品質改善に取り組むことは当然のことと考えてきたのです。当然その費用も決して安いものではありません。ですが、事業者として当然負担すべきものと信じてきました。

 新しい障害者自立支援法のなかには、このような事業者の取り組みを評価するしくみはありません。

 事業者が「サービス」そのものの品質改善にとりくんでもそれは評価されません。評価の指標はいろいろあるのですから、その指標に品質改善への取り組みが採用されなかったとしても、それはそれでしかたありません。

 むしろ事業者としては、利用実績払い方式(日払い方式)の制度に対応し、適正な報酬を獲得するために別な視点からの取り組みが求められています。

 私の勤務する施設では、職員のパーソナリティを活かした周辺事業(中心事業は障害福祉サービス事業です)の開拓を進めるつもりです。中心事業と周辺事業との協調の中で、企業としての永続性を求めています。

 そこで、どのような事業を展開しようかと考えましたが、ふと気づくと、実は周辺事業への布石は数年前から、施設の職員によって進められていたことに気づきました。

 しかもその布石は、施設長である私の指示があったからなどではなく、職員自らの希望によって選ばれ、進められていたのです。

 まず、1点。私の勤務する施設は「知的障害者授産施設」ですから、利用されているお客様の就労支援が重要職務となります。したがって「就労実績」は何よりも大切な事業実績の指標となります。施設が設置されたのが平成11年。その後、約5年間に就労された方は5人。わずか毎年1人の割合でした。

 3年前、つきやま先生は、就労支援の仕事をやりたいという希望を私に伝えました。私はそれを承認しました。つきやま先生は、ジョブコーチとして八面六臂の活躍をしてくれました。しかし最初の2年間は、私の勤務する施設からの就労者はわずかでした。ちょうど一年前、私は、先生に伝えました、次の年度に10人の企業就労者をだしてほしい。それが実現しないなら、ジョブコーチの仕事は辞めてほしい、と。

 その結果。今年度9人が企業就労を果たしました。全員最低賃金以上の給料で雇用契約です。(そのうち3人は残念ながら後日解雇されてしまいましたが……)。年1人から10倍近い実績がでました。目標をもてば達成できるんです。つきやま先生が証明してくれました。

 私の勤務する施設の最大の売り(セールスポイント)は、就労実績です。その点で、施設の進むべき道を確信させてくれたのが、つきやま先生の存在でした。

 つぎ。こひ先生は、障害者地域生活支援室(無認可事業です)のコーディネーターです。こひ先生もやはり3年前に、地域生活支援事業の重要性を感じ、この仕事をやりたいという希望を私に伝えてくれました。私はそれを承認しました。その後の3年間、支援室事業そのものは利益を産み出しませんでした。

 しかし、こひ先生は毎月欠かさず「支援室ニュース」を書きました。このニュースがこひ先生と支援室に会員登録した在宅障害者との間の信頼関係を作り続けました。会員登録数もばかになりません(企業秘密です)。

 この信頼のネットワークは、今後の周辺事業の展開を図る上でなくてはならないものです。いまは施設にとっていのちの次に大事な情報といえるでしょう。このネットワークを毎月こつこつと作り上げてくれたのがこひ先生でした。

 そして。私の勤務する施設では、昨年から宅配弁当事業を始めました。当初は厨房の職員さんのがんばりに頼る体制でした。これからの事業拡大には人・モノ・金の投資が重要になります。そこで第一歩としてこの4月から新しい職員体制を敷くこととしました。

 この新しい体制の中で、担当することとなった、こたか先生は、数年前に「調理師」免許を取得していました。このときも免許を取りたいという相談を受けました。私は承認しました。その結果、こたか先生の免許が活かせる状況が生まれたのです。

 ここに紹介した3人の先生は、いずれも今後の施設の進むべき道のキーを握る先生です。でも誰一人として、施設長である私からこの仕事をやってほしいと頼んではいないのです。自ら進んで、やりたい道を選んで、そして実績を残し、施設にとっってなくてはならない人材になってくれたのです。

 職員が、自発的にやりたいと思うこと、これは100%正しい道なのだと、お話ではなく、目の前の事実として私に示してくれています。

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2006年2月23日 (木)

高くても買いたいもの

障害者自立支援法が4月から施行されるにあたり、報酬単価や設置基準や人員配置基準などが少しずつ明らかになりつつあります。この法律では利用者負担(定率負担・1割負担)が規定されているので4月からの具体的な負担額の算定手続きの準備が始まっています。正式な厚生労働省からの通知は3月初めに予定されている全国主幹課長会議を経てなされます。この時期は事業者団体とのヒヤリング等が行われ、報酬額や加算制度などをめぐり議論がなされています。

 支援費制度においても利用者負担はありましたが、利用者や保護者の所得に応じて負担額が決まっていたため、サービス量や障害程度区分(支援費単価の根拠となります)により負担額が変わるということはなかったのです。だから必要に応じて(一定の金銭負担は生じますが)サービスを受けられましたし、事業者としてもサービスを受けることを勧めることができました。

 ところが自立支援法においては、サービスを受ければ受けるほど負担が増します。月額上限額が定められてはいますが、このアッパーリミットにかからない方にとっては、サービス量やその金額が増えれば増えるほど負担が増す、という感覚はぬぐえません。アッパーリミットに達しない方の法が多いようですから、なおさらです。

 このことは事業者と顧客(サービスを利用する障害者)の利害関係を生じさせることとなります。障害者自立支援法がもつ「とても困ったしくみ」といえるでしょう。

 支援費制度においては、障害者の方に対して、必要な支援は遠慮なく受けてください(それによって負担が変わることはないのですから)と言えましたが、今後はこうは言えないようです。

 障害者ご本人、ご家族にとっても金銭負担を考慮してサービスを受けること(サービス購入)を控えようとする場面が増えることになるでしょう。

 事業者にとって4月からの報酬単価は従来に水準より下がることは経営上苦しくなるので、いろいろな手だてで報酬単価水準を維持したいと願うところですが、お客様にとっては、報酬単価(すなわち利用料金)は安いにこしたことはないのです。

 だから事業者にとって必要なことは、「たとえ高くても欲しい」とお客様が思うようなサービスを提供することとなります。現場で提供している「サービス」そのものの付加価値を高めるには何が必要か、という観点での取り組みが急務です。

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2005年11月25日 (金)

障害者自立支援法対策チーム発足

 本日、私の勤務する施設では(遅ればせながら)「障害者自立支援法対策チーム」が発足し、第1回会議を開催しました。自立支援法が成立する以前から「入所授産施設」が一番大きな影響を受けるといわれていましたから、はやくその対応に向けてとりくむ必要は感じていましたので、ようやく発足し、ちょっとだけ(ほんとうにちょっとだけ)ほっとしています。
 今日の会議では、いろいろな情報の整理として、障害者本人負担の内容とか、新事業体系のこと、報酬単価や職員の人員配置基準に関する情報について確認しました。
 
 また私の施設は「全国社会就労センター協議会」に加入しているので「セルプ通信速報」が入手できますから、その資料を基に情報交換しました。
 現在の情報を見る限りでは、新しい法制度の下で「今まで同じことをし続けること」は本当に難しいようです。
 顧客満足(CS)を高めることが組織としての使命でありますが、その前提として従業員満足(ES)の追求があります。
 新しい法制度の下での対応については、この「CSのためのESの追求」を見失わずにすすめたいと思います。
 新しい「対策チーム」にはこのことをお願いしました。
 さて昨11月24日に、セルプ協制度・政策・予算対策委員会会議が開催されました。午後の「新施設・事業体系移行モデル小委員会」のなかで、新施設・事業体系移行のフローチャートとその際の検討ポイントのリストなどを検討しました。この内容は、12月6~7日に開催される「障害者自立支援法の施行に向けた実践研修会」のなかの「移行手順等の基本的考え方」という講座で示される予定です。
 また今後11月28日に「新しい障害福祉サービスを考える会」開催12月5日に社保審障害者部会の開催が予定されています。なお11月11日に開催された障害福祉主管課長会議についてはセルプ通信速報67号でもふれられていますが全文を参照されたい方は、下記サイトでダウンロードできます。

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