2008年4月12日 (土)

自分がどの点で最高の力が発揮できるか

新年度が始まりました。

私が勤務する施設でも最初の職員会議(今年度からこの会議のネーミングが「パワーアップミーティング」となりました)が開かれ、席上、今年度の経営方針について発表しました。

http://www.meiroh.com/ceo/2008_keiei.html

このパワーアップミーティングの議長を務めた職員が、私の経営方針発表後に、ミーティングに出席している職員に次のように語りかけました。

「自分はどの点で最高の力を発揮できるか、を言ってください」「この経営方針を受けて、この中の項目から、今年は何をどう実践したいのか、言ってください」

プラス発想を引き出す素晴らしい会議の進め方です。そのあとに続く職員の発言も、この議長のスピリットを受けて、自然に良い発言となりました。

……「良い発言」って何? とお考えのあなたに……

笑顔で発言している言葉は、それだけで良い発言です。

改めて自分の周囲を見回してみてください。良い発言はいつも笑顔とともにあります。

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2006年3月24日 (金)

自発的にやりたいと思うことは100%正しい

 障害者自立支援法の施行を目前にして、私の勤務する施設でも障害福祉サービスを利用する障害者ご本人、そのご家族の方(私どもの施設では「お客様」とお呼びします)に制度変更の中身のご説明と、利用料のしくみの変更(応能負担から定率負担に変わります)に合わせた契約変更の準備に追われています。

 報酬が下がる中、どのように収益性を保つかの正念場がやってきたようです。

 いままで、社会福祉法に盛り込まれた「障害者サービスの第三者評価」への取り組みとして私の勤務する施設では独自にISO9001を採用し、その認証を受け、半年に一度の外部機関の審査を受けながら継続的改善に取り組んできました。2002年の12月に初めての認証を取得し、昨2005年12月に更新登録をしました。障害福祉サービスの提供事業者として、サービスの品質改善に取り組むことは当然のことと考えてきたのです。当然その費用も決して安いものではありません。ですが、事業者として当然負担すべきものと信じてきました。

 新しい障害者自立支援法のなかには、このような事業者の取り組みを評価するしくみはありません。

 事業者が「サービス」そのものの品質改善にとりくんでもそれは評価されません。評価の指標はいろいろあるのですから、その指標に品質改善への取り組みが採用されなかったとしても、それはそれでしかたありません。

 むしろ事業者としては、利用実績払い方式(日払い方式)の制度に対応し、適正な報酬を獲得するために別な視点からの取り組みが求められています。

 私の勤務する施設では、職員のパーソナリティを活かした周辺事業(中心事業は障害福祉サービス事業です)の開拓を進めるつもりです。中心事業と周辺事業との協調の中で、企業としての永続性を求めています。

 そこで、どのような事業を展開しようかと考えましたが、ふと気づくと、実は周辺事業への布石は数年前から、施設の職員によって進められていたことに気づきました。

 しかもその布石は、施設長である私の指示があったからなどではなく、職員自らの希望によって選ばれ、進められていたのです。

 まず、1点。私の勤務する施設は「知的障害者授産施設」ですから、利用されているお客様の就労支援が重要職務となります。したがって「就労実績」は何よりも大切な事業実績の指標となります。施設が設置されたのが平成11年。その後、約5年間に就労された方は5人。わずか毎年1人の割合でした。

 3年前、つきやま先生は、就労支援の仕事をやりたいという希望を私に伝えました。私はそれを承認しました。つきやま先生は、ジョブコーチとして八面六臂の活躍をしてくれました。しかし最初の2年間は、私の勤務する施設からの就労者はわずかでした。ちょうど一年前、私は、先生に伝えました、次の年度に10人の企業就労者をだしてほしい。それが実現しないなら、ジョブコーチの仕事は辞めてほしい、と。

 その結果。今年度9人が企業就労を果たしました。全員最低賃金以上の給料で雇用契約です。(そのうち3人は残念ながら後日解雇されてしまいましたが……)。年1人から10倍近い実績がでました。目標をもてば達成できるんです。つきやま先生が証明してくれました。

 私の勤務する施設の最大の売り(セールスポイント)は、就労実績です。その点で、施設の進むべき道を確信させてくれたのが、つきやま先生の存在でした。

 つぎ。こひ先生は、障害者地域生活支援室(無認可事業です)のコーディネーターです。こひ先生もやはり3年前に、地域生活支援事業の重要性を感じ、この仕事をやりたいという希望を私に伝えてくれました。私はそれを承認しました。その後の3年間、支援室事業そのものは利益を産み出しませんでした。

 しかし、こひ先生は毎月欠かさず「支援室ニュース」を書きました。このニュースがこひ先生と支援室に会員登録した在宅障害者との間の信頼関係を作り続けました。会員登録数もばかになりません(企業秘密です)。

 この信頼のネットワークは、今後の周辺事業の展開を図る上でなくてはならないものです。いまは施設にとっていのちの次に大事な情報といえるでしょう。このネットワークを毎月こつこつと作り上げてくれたのがこひ先生でした。

 そして。私の勤務する施設では、昨年から宅配弁当事業を始めました。当初は厨房の職員さんのがんばりに頼る体制でした。これからの事業拡大には人・モノ・金の投資が重要になります。そこで第一歩としてこの4月から新しい職員体制を敷くこととしました。

 この新しい体制の中で、担当することとなった、こたか先生は、数年前に「調理師」免許を取得していました。このときも免許を取りたいという相談を受けました。私は承認しました。その結果、こたか先生の免許が活かせる状況が生まれたのです。

 ここに紹介した3人の先生は、いずれも今後の施設の進むべき道のキーを握る先生です。でも誰一人として、施設長である私からこの仕事をやってほしいと頼んではいないのです。自ら進んで、やりたい道を選んで、そして実績を残し、施設にとっってなくてはならない人材になってくれたのです。

 職員が、自発的にやりたいと思うこと、これは100%正しい道なのだと、お話ではなく、目の前の事実として私に示してくれています。

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2005年11月21日 (月)

千葉県障害者就労事業振興センターは期待できる

 NPO法人「千葉県障害者就労事業振興センター」が設立され、本日千葉県教育会館でその事業説明会が開催されました。千葉県障害福祉課の竹林課長が最初から最後まで出席されていて、千葉県のこの事業に対する意気込みを感じました。

 この振興センターの設立経緯やら目的・役割などの説明を受けましたが、その中で「振興センター事業の目標」として、①3年後の工賃を月額17,000円以上とする。②新たな障害者雇用の場を3年間で3施設以上設立する。が掲げられました。

 このような具体的かつ測定可能な数値目標が掲げられたことに対して、ほんとうに心強い思いがしました。

 当然新しい事業だけに、今後どのように推移していくか未知の部分が多くあって、新しい役員さん(理事さんやセンター長さん、職員さん)は不安が多いことだろうと思います。振興センターの組織そのものがどのような規模で成長していくかすら未知なはずです。それだけに具体的な目標を掲げられたこと、その勇気というか、強い気概に敬意を表したいと思います。

 福祉業界は「崇高な理念」と「現実」とのギャップに苦しむことが多いと感じます。とくに授産施設や作業所は、それを強く感じることが多いと思います。それは「障害者支援の手腕」と「事業経営の手腕」が車の両輪となって進むことが必要ですが、とかく「障害者支援の困難性」を「事業経営の不手際」の理由と見間違えてしまいがちだからではないでしょうか。

 「障害者支援」の重要性を認識しながらも事業経営の改善に取り組む必要性は、いろいろなところで主張されていますが、あらためて、振興センターの姿勢は大きく評価できると確信します。

 センター長さんが「絵に描いた餅にならないように」と決意を述べられていましたが、目標を設定してさえいれば、目標は達成できます。

 私の勤務する施設は、ISO9001:2000の認証取得事業所ですが、過去数年間の取り組み実績からしても、このことは確かです。「目標は掲げれば達成できる」。

 千葉県障害者就労事業振興センターの今後に大いに期待したいと思います。

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2005年11月16日 (水)

ISO9001更新審査終わる

 私の勤める知的障害者施設は、2002年12月にISO9001:2000の認証登録を受けました。3年前は「措置から契約へ」という流れで支援費制度の導入を間近に控え、福祉施設にとって大きな時代の変化が来ると言われていました。知的障害者施設にとって顧客(地域の障害者の方、そのご家族の方)に選ばれるためには、組織をどのようにすればよいか暗中模索をしていたのです。

 2000年に戦後社会福祉事業、社会福祉法人、福祉事務所などに関する枠組みを規定していた社会福祉事業法が「社会福祉法」に改正され、個人の自立支援、利用者による選択の尊重、サービスの効率化などを柱とした新しい社会福祉の方向性が示され、2003年4月からは「支援費制度」への移行が決まり、そのために日夜取り組んでいた頃でした。社会福祉法には顧客による選択を保証するシステムとして、苦情解決とサービスの第三者評価が盛り込まれていましたが、後者は努力目標に過ぎませんでした。

 ここに目をつけました。サービスの第三者評価を何とか活用できる方法はないかと。ここでたどり着いたのが「ISO」だったのです。認証取得するからには一気呵成に取り組もうということで、2002年6月から始めてその年の12月に取得しました。

 ISOに関しては、さまざまな評価があります。とくに福祉サービス事業においては、維持にかかるコストと見合うだけの効果があるかとの疑問がきかれることがあります。しかしISOは自施設の提供するサービスを改善し続けるための「ツール」です。ツールですから、使い方次第です。使い方の巧拙とツールの善し悪しの評価を混同しないことが大切だと思います。

 こうして3年が経ちました。この間、半年ごとに定期審査を受け続けました。内部監査でもQMS(品質マネジメントシステム)がうまくいっていないところがたくさん出続けました。歩みは遅々としていますが改善し続ける「姿勢」が身についてきた実感はあります。

 今月14日から16日まで3日間の更新審査があり、本日終了しました。改善指摘事項はなく、無事更新できることになりました。とはいえ、審査を通じて今後改善をしていくべきポイントはたくさん見つかりました。

 このポイントを大切に受け止め、改善し続けたいと思います。改善すべき点をなくすのが目的ではなく、改善し続ける姿勢を維持することこそが、組織に必要なことであると思っています。

 しかし、ISO9001の認証取得を通じて、大きく変わってきたのは実は「組織」ではなく、「人」でした。このことはまた書きます。

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