2010年5月 9日 (日)

福祉のマスキー法に挑戦しよう

マスキー法を聞いたことがありますか?

1970年にアメリカ民主党のマスキー上院議員が提案した「1970年大気浄化法改正法案」はガソリン乗用車の一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物の排出を当時の10分の1まで削減するという技術的にも厳しい条件を義務づけ、達成しない自動車は期限以降の販売を認めないという内容でした。

自動車の排気ガス規制法として当時世界一厳しいといわれ、クリアするのは不可能とまで言われましたが、日本のホンダがCVCCエンジンの実用化を開発して世界で最初にクリアしたのです。

マスキー法そのものは自動車メーカー側からの反発が激しく74年に廃案となりましたが、排ガス規制自体は徐々に進み、1995年にはマスキー法案で定められた基準に達したのです。日本では、これに先立つ1978年にマスキー法当初の目標どおりの規制が実施されました。

このときのエンジン技術の研究開発が、その後の日本車の燃費向上・環境改善に貢献したことはいうまでもありません。

現在、障害者自立支援法に代わる新しい制度構築に向けた検討が行われていますが、障がい者総合福祉法の整備にあたっては、障がい者権利条約批准のための国内法整備や障害者の労働権保障に関するILO提訴に対する勧告・回答との調整などがその前提にあり、単なる法律改正に留まらず、広い範囲での検討や調整が必要になります。

このことは、福祉制度の構築にあたって従来のように単に福祉事業に携わる側の要請によらない制度設計の時代の到来に違いないのです。

自動車業界が40年前に挑戦した排ガス規制クリアの課題は、当時は誰もがばかげた規制への対応だと考えていましたが、真摯に取り組んだ日本企業がまず橋頭堡を築いたのです。

そしていまではだれもが自動車企業が当然に果たさなければならない責任として見なされています。

私は、これからの障害者就労の課題を考えるときに、このマスキー法が頭に浮かびます。誰もがばかげた規制、ありえない基準、と考えているときに「クリアすべき課題」として取り組み見事にたっいることができた企業が存在したことは歴史が証明しています。

福祉の業界における「マスキー法」とは何でしょうか。

たとえば、福祉施設において働く障害者に労働法規をすべて適用すること。現場ではだれもがありえないこと、と考えています。しかし一旦このことが解決すべき課題となったならばクリアするために真摯に取り組まなくてはなりません。

40年前の自動車と現代の自動車では、私たちの生活上の利便性が大きく異なります。はるかに身近にはるかに快適になっています。

障害者が持つ可能性(現時点では未発揮のエネルギー)が将来私たちの生活にとってなくてはならないもの、莫大な効用をもたらすものに違いありません。

将来の障害者の働く力の総和は、自動車の効用に匹敵するのです。

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2010年4月 1日 (木)

あなたは「現場」を知っていますか?

私たちは福祉の現場で働いているので、皆んな現場を知っています。

福祉行政を批判するときに、よくいわれる言葉は「机上の空論」「会議室の理論」などです。

自分たちの働いている職場は間違いなく「現場」です。ところが現場には違いないのですが「自分の職場」に過ぎず、他の福祉の現場をいったいどれほど知っているのでしょうか。

たんに自分の職場を知っていることを「現場を知っている」と表現することに問題はないでしょうか。

現場には、(福祉の業界に限らず)その職場独自の人間関係や社風、文化があります。同じ業界であるならば同様な「作業」が展開するでしょうが、上記人間関係等は職場によって大きく異なるものです。私はいままでに異なる業界4か所に所属しましたが、そこでの作業内容は当然のこと、人間関係等は大きく異なりました。

では、どの福祉現場にも共通するものというものはあるのでしょうか。

自分の働く職場の情況や事情をもとに、どの職場にとっても必要なものは何か、という観点から、それを醸成するために必要なものの提案をしていくことならば可能でしょう。

その提案の方法としては、自分の職場の都合によるものではなく、他の職場の都合を思いやる心から発しなければなりません。自分の職場にとって必要不可欠だと感じることが他の職場にとってどのような意味を持つことになるのかを考えないままに発言し行動することは慎まなければならないことです。

自分の職場・組織の社風・文化・価値観とは異なる(自分を否定するかに見える)文化・価値観に基づく発言・行動をも受け止める器量のある人の発する声が、ほんとうの「現場の声」というものなのです。

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2009年10月 2日 (金)

企業連携のほんとうの意味

9月17日開催のセミナー『企業との連携強化で工賃倍増を実現させる方法』に参加しました。「企業連携」をキーワードに組み立てられた研修でした。

企業連携と聞いてあなたは何をイメージするでしょうか。

ちょっと、考えてみてください。

私もしみじみ感じているのですが、福祉施設が(特に工賃倍増との関連で)企業と連携することをイメージするときの「企業」とは私(あなた)が知っている企業のことになってしまう、ということです。

もしも、福祉と企業との連携をという言葉を目や耳にして「また下請けのことか」とか「企業のCSRは胡散臭いしなあ」などという思い込みがあるならば、それはあなたがまだ本当の(あるいは本物の)企業に出会っていないからです。本物に出会っていないにも関わらず、その極小で貧弱な出会いの体験をもって全体を規定してしまうのは、とても残念なことです。

残念などころか、企業との連携の道を捨て去ることによって工賃倍増が遠退くならば、この考え方は「障害者虐待」の考え方だと私は思います。

いかがでしょうか。

企業との連携を真剣に検討してこなかった自分の今までをつくづく反省しています。そして自分の知らないところで、自分が意識していなくても障害者虐待をしてしまうものなのだという怖さを感じています。

福祉業界内にいるだけでは、もしかしたら本当の企業の力、本物の企業の使命・スピリット(魂)には出会えないのかもしれません。

一歩踏み出すことが必要なのです。

少なくとも「企業との連携」を考え検討するときには、「福祉との連携」を検討・模索している企業人と出会うことが不可欠です。

企業と福祉、福祉と企業、言葉では何とでも書けますが、その中身は見る人によって大きく異なるので、まずは人との出会いを作らなければ、触発・発展・革命は起こらないだろうと思います。

このようなことを強く、思い起こさせるセミナーだったのです。

まさに福祉と企業との両方を対等に目にすることが出来るのがコンサルタントの強みであり、そのコンサルタントの貴重な視点を活用する姿勢が施設長には必要な資質だと思います。

ただし、よいレクチャーであればあるほどよい情報、貴重な情報を得た喜びに満足しがちになるという落とし穴があります。

本当のポイントはその情報や知見を得たあとの行動にあるのです。

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2007年1月18日 (木)

工賃倍増計画支援事業

平成19年度予算案の中に「工賃倍増計画支援事業(5億円)」(福祉施設で働く障害者の工賃を平成23年度末までに現在の水準から倍増させることを目標とする「工賃倍増計画」を各都道府県が策定し、同計画に基づく事業に対し補助を実施(事業費:1都道府県あたり1,000万円~3,000万円))の内容が盛り込まれました。

工賃水準の引き上げのための事業として18年度は、授産施設等における工賃実績の報告・公表、利用者負担における工賃控除の「見直し」、工賃ステップアップ事業(経営改善モデル事業)の実施がありました。工賃控除の「見直し」は障害者自立支援法にもとづく新制度のほころびを繕うという意味も含まれています。

「工賃倍増計画支援事業」とは、工賃の月額平均15,000円を30,000円に倍増させる支援事業です。何ができるかを考えていくことは楽しみです。

実は「できない」理由を考えることほど不毛なことはないのです。もちろん職務上、そのことの分析をしなければならないときはあります。しかし事業費が1千万円でどれほどのことができるか。研修会を開くとしても資料代・会場代・通信費で半分、講師料・調査費・報告書作成費で残り半分。都道府県内全域に2~3回程度の開催か、あるいはモデル事業の継続か、その程度のこと「しかできない」……

(できない理由を発言する人の「マイナス精神」は伝播します。だから私は極力、できない理由を見つける人や不満を口にする人から遠ざかるようにしています)

ここは一転して、5億円の予算がついた。この事業で目標を達成するためには何ができるかを考えていきましょう。


さて、工賃の月額平均15,000円を30,000円に倍増させる支援事業に注目しましょうと書きましたが、この事業の目標を正しく読み替える必要があります。

平均工賃を上げるためには、あなたの事業所で何をすればよいのでしょうか。


もちろんそれぞれの事業所の工賃が倍増すれば結果として平均工賃が倍増するでしょう。しかしここはもう少し正確に目標を設定する必要があります。

工賃は障害者お一人お一人が受け取る金額ですが、その工賃をアップするため、と考えると、障害者の能力アップがその前提として不可欠だという壁に当たります。そして「支援をしている目の前の障害者の姿を厚労省の役人に見てもらいたい、このような状態で工賃アップできるはずがない」とか「行政が施設に積極的に仕事を発注しないのだから仕事が増えるはずがない」という隘路に迷い込んでしまいます。

工賃アップの正しい表現は「工賃支払い能力アップ」です。目の前にいる障害者の働く能力が上がらなくても、変わらなくても、高い工賃を支払うことができる能力を事業所が手にするにはどうすればよいか、ということです。

実際、事業所の職員さんのお給料算定の際に「働く能力」あがらないから昇級延伸とかいう事態はないはずです(もっとも今は別の理由で賃金一律カットや賞与なしの事態が各地で生じていますが)。

工賃アップができない理由に「障害者側」の事情をもってくるのはフェアではありません。あなたが一人の労働者であるとして考えてみてください。障害者自立支援法による日割り制とか報酬単価引き下げによって事業所財政が悪化したり(外部事情)、経営者の放漫な姿勢やサービスレベル低下による顧客離れによって事業所財政が悪化(内部事情)
したりしたのに、労働者の能力が上がらないから給料が支払えないといわれたら、どのような気持ちになるでしょうか。

事業所の工賃支払い能力を形成する要素のひとつに「労働者の資質」があるのは否定できませんが、それだけではないはずです。だから、事業所の支払い能力を上げることが大切なことです。

そしてその観点から「目標」を設定する必要があります。事業所の「何」を「どう」するのかが「目標」です。

事業者の現状の何をどのように変えるか、このことが目標です。



事業の目標売上をいくらに設定するか、これが「工賃アップ」のための正しい目標設定方法です。

工賃を収入から経費を差し引いた収益を充てると考えたとしても、工賃を事前に経費化して事業計画を立てるとしても、売上が上がらないことには「結果として」工賃が上がらないからです。

事業所とともに都道府県も考えていただきたいことです。

仮に都道府県に事業所が100ヶ所あったとします。その1事業所あたりの年間売上が250万円だったとします。すると年間2億5千万円です。5年間で5億円にするというのが、この支援事業の目標です。5年間の伸びは一定ではありません。季節変動があるからではありません。事業の伸びには勢いが関係するからです。

飛行機が飛び立つためには離陸のときに一番エネルギーを使います。しかし一度飛び立ってしまえば離陸ほどのエネルギーは必要ないのです。だから、1年目が一番エネルギーを使います。1年目は1千万の伸びでもOKです。1事業所あたり10万円です。250万円売っている事業所が260万円にすることは簡単です。10万円伸ばせた事業所は同じエネルギーで30万円、50万円、80万円と伸ばしていくことができます。

500万円にするという目標があるから260万円という一里塚へ達するのは簡単なのです。しかしその簡単なことでも250万円が限界だと考えている事業所にとっては無理なことになってしまうのです。

さて、この目標を設定したならば、そのために事業所は何をすればよいのでしょうか。達成するために必要なことだけを考えます。

できない理由を考えてならないのです。

工賃倍増は、「そんなこと簡単にできる」と取り組んだ事業所だけが達成できます。支援事業の目標金額を簡単に達成できると取り組んだ都道府県だけが達成できます。

この取り組みは、障害者支援という福祉サービス提供とその質の向上への日々の取り組みとは別物です。

障害者支援の困難な現実によって授産事業の目標を見つけられないまま走り続けている事業者に対する都道府県の支援は、従来のタイプとはまったく別の支援スタイルになるのです。

そのスタイルとは……

1.工賃倍増とは、障害者支援とくに生活支援とは別次元に展開されるべきもの。または生活支援を含めた障害者支援とは別のスキルによって達成できるものであること。

2.具体的な目標は事業の売上金額等、具体的に測定できる指標により設定すべきであること。(指標に平均工賃や工賃を用いると障害者の資質に目がいくので、できるだけ売上を用いること)

3.5カ年の年次計画においては、とくに1年次目の目標を達成するのが一番困難なので、機械的に均等割することなく慎重に目標を設定すること。

4.目標を達成するために必要なことを明確にして取り組むことを奨励し、目標を達成できない理由や目標未達理由の分析にとらわれすぎないこと。

5.都道府県内すべての事業所を包括することを追求しすぎることなく、取り組みたい事業所だけで始めて、あとからの合流を自由に認めること。

6.これらのことを県内各事業所に確実に伝える方策をとること。


このことを実現するためは……

1.事業所の管理者向けに「目標設定」のための講座を実施する。

2.成功事例を評価し合う会合を実施する。この会合には管理者のほかに、職員、利用者(障害者本人)、利用者ご家族が参加する。

3.成功事例の評価の際には、障害者本人、障害者のご家族、職員同士が評価し、事業所職員・施設職員が評価され、表彰されるしくみをとりいれること。

あなたはどのようにお考えになりますか。


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2006年7月30日 (日)

自立支援法に対応する力

 『予測不能な世界に対処する一つの方法は、あなたの組織内に考えうる限りの柔軟性を植え込んでおくことである。』(アル・ライズほか『マーケティング22の法則』東急エージェンシー、1994,1 p179)という一言が力を与えてくれます。

 自立支援法が4月1日に施行されてから、今後への不安が大きくなりました。報酬の日割制により収入が減少する、いやそれ以上に収入が不確定になります。10月以降の新事業への移行について検討してみても、いままでの報酬額や人員配置などの基準が大きく変更され、安心して移れそうにないのです。報酬とも関わりますが障害者の障害程度区分判定の仕組みがとくに知的障害者にとっては不充分・不親切です。これらのことが今後改善されるのかどうかの見通しさえ立っていないのです。

 千葉県我孫子市が、この障害程度区分判定に関して独自の基準を設けて、知的障害者・精神障害者の実態と判定結果の乖離に修正を加える動きを見せています。詳細な内容は検証していませんが、大いに評価すべきは「障害者の福祉サービスの利用希望」が障害判定結果に反映される点です。

 変化へのどこよりも早い対応が必要。このようなアドバイスを上記書籍から見つけたのです。また『そもそも会社というものは、新しいアイデアをもって自らに刃を向けるほどの柔軟性を備えていなければだめである』(前掲書 p181)そうです。

 自らに刃を向けるほどの柔軟性。

 しかしこの柔軟性は血を出すための柔軟性ではありません。予測不能な未来に対処するための柔軟性です。

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2006年2月23日 (木)

高くても買いたいもの

障害者自立支援法が4月から施行されるにあたり、報酬単価や設置基準や人員配置基準などが少しずつ明らかになりつつあります。この法律では利用者負担(定率負担・1割負担)が規定されているので4月からの具体的な負担額の算定手続きの準備が始まっています。正式な厚生労働省からの通知は3月初めに予定されている全国主幹課長会議を経てなされます。この時期は事業者団体とのヒヤリング等が行われ、報酬額や加算制度などをめぐり議論がなされています。

 支援費制度においても利用者負担はありましたが、利用者や保護者の所得に応じて負担額が決まっていたため、サービス量や障害程度区分(支援費単価の根拠となります)により負担額が変わるということはなかったのです。だから必要に応じて(一定の金銭負担は生じますが)サービスを受けられましたし、事業者としてもサービスを受けることを勧めることができました。

 ところが自立支援法においては、サービスを受ければ受けるほど負担が増します。月額上限額が定められてはいますが、このアッパーリミットにかからない方にとっては、サービス量やその金額が増えれば増えるほど負担が増す、という感覚はぬぐえません。アッパーリミットに達しない方の法が多いようですから、なおさらです。

 このことは事業者と顧客(サービスを利用する障害者)の利害関係を生じさせることとなります。障害者自立支援法がもつ「とても困ったしくみ」といえるでしょう。

 支援費制度においては、障害者の方に対して、必要な支援は遠慮なく受けてください(それによって負担が変わることはないのですから)と言えましたが、今後はこうは言えないようです。

 障害者ご本人、ご家族にとっても金銭負担を考慮してサービスを受けること(サービス購入)を控えようとする場面が増えることになるでしょう。

 事業者にとって4月からの報酬単価は従来に水準より下がることは経営上苦しくなるので、いろいろな手だてで報酬単価水準を維持したいと願うところですが、お客様にとっては、報酬単価(すなわち利用料金)は安いにこしたことはないのです。

 だから事業者にとって必要なことは、「たとえ高くても欲しい」とお客様が思うようなサービスを提供することとなります。現場で提供している「サービス」そのものの付加価値を高めるには何が必要か、という観点での取り組みが急務です。

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2005年11月25日 (金)

障害者自立支援法対策チーム発足

 本日、私の勤務する施設では(遅ればせながら)「障害者自立支援法対策チーム」が発足し、第1回会議を開催しました。自立支援法が成立する以前から「入所授産施設」が一番大きな影響を受けるといわれていましたから、はやくその対応に向けてとりくむ必要は感じていましたので、ようやく発足し、ちょっとだけ(ほんとうにちょっとだけ)ほっとしています。
 今日の会議では、いろいろな情報の整理として、障害者本人負担の内容とか、新事業体系のこと、報酬単価や職員の人員配置基準に関する情報について確認しました。
 
 また私の施設は「全国社会就労センター協議会」に加入しているので「セルプ通信速報」が入手できますから、その資料を基に情報交換しました。
 現在の情報を見る限りでは、新しい法制度の下で「今まで同じことをし続けること」は本当に難しいようです。
 顧客満足(CS)を高めることが組織としての使命でありますが、その前提として従業員満足(ES)の追求があります。
 新しい法制度の下での対応については、この「CSのためのESの追求」を見失わずにすすめたいと思います。
 新しい「対策チーム」にはこのことをお願いしました。
 さて昨11月24日に、セルプ協制度・政策・予算対策委員会会議が開催されました。午後の「新施設・事業体系移行モデル小委員会」のなかで、新施設・事業体系移行のフローチャートとその際の検討ポイントのリストなどを検討しました。この内容は、12月6~7日に開催される「障害者自立支援法の施行に向けた実践研修会」のなかの「移行手順等の基本的考え方」という講座で示される予定です。
 また今後11月28日に「新しい障害福祉サービスを考える会」開催12月5日に社保審障害者部会の開催が予定されています。なお11月11日に開催された障害福祉主管課長会議についてはセルプ通信速報67号でもふれられていますが全文を参照されたい方は、下記サイトでダウンロードできます。

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2005年11月21日 (月)

千葉県障害者就労事業振興センターは期待できる

 NPO法人「千葉県障害者就労事業振興センター」が設立され、本日千葉県教育会館でその事業説明会が開催されました。千葉県障害福祉課の竹林課長が最初から最後まで出席されていて、千葉県のこの事業に対する意気込みを感じました。

 この振興センターの設立経緯やら目的・役割などの説明を受けましたが、その中で「振興センター事業の目標」として、①3年後の工賃を月額17,000円以上とする。②新たな障害者雇用の場を3年間で3施設以上設立する。が掲げられました。

 このような具体的かつ測定可能な数値目標が掲げられたことに対して、ほんとうに心強い思いがしました。

 当然新しい事業だけに、今後どのように推移していくか未知の部分が多くあって、新しい役員さん(理事さんやセンター長さん、職員さん)は不安が多いことだろうと思います。振興センターの組織そのものがどのような規模で成長していくかすら未知なはずです。それだけに具体的な目標を掲げられたこと、その勇気というか、強い気概に敬意を表したいと思います。

 福祉業界は「崇高な理念」と「現実」とのギャップに苦しむことが多いと感じます。とくに授産施設や作業所は、それを強く感じることが多いと思います。それは「障害者支援の手腕」と「事業経営の手腕」が車の両輪となって進むことが必要ですが、とかく「障害者支援の困難性」を「事業経営の不手際」の理由と見間違えてしまいがちだからではないでしょうか。

 「障害者支援」の重要性を認識しながらも事業経営の改善に取り組む必要性は、いろいろなところで主張されていますが、あらためて、振興センターの姿勢は大きく評価できると確信します。

 センター長さんが「絵に描いた餅にならないように」と決意を述べられていましたが、目標を設定してさえいれば、目標は達成できます。

 私の勤務する施設は、ISO9001:2000の認証取得事業所ですが、過去数年間の取り組み実績からしても、このことは確かです。「目標は掲げれば達成できる」。

 千葉県障害者就労事業振興センターの今後に大いに期待したいと思います。

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2005年11月 9日 (水)

手がありますから

先日、顧客(私の勤務する知的障害者施設の利用者・施設サービスの消費者のことです)のお母さんをご自宅まで私の車で送ったときのこと。お母さん曰く「この間、担当のさたか先生がおっしゃった一言でほっとしました」 「なんて申し上げたんですか」と私。「さたか先生が『お母さん、一人であまり無理しないでください。僕たちには手がありますから』と言ってくれたんです。子どものことでいろいろと悩んでいたときに、手がありますからという一言が本当にうれしく、ほっとしたんです」 職員のチームワークがあるなぁ、と感じた一瞬でした。複数の職員の固いチームワークを感じていてくれたからこそ、さたか先生は「私が頑張りますから」ではなく「手がありますから」という言葉が自然に口から出たのでしょう。頼もしい職員の存在を再発見し、私自身もほっとしました。

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